類まれなる才能と影響力を持ちながら、内向的で、名声を得ることに興味がなかったボビー・チャールズ。これは、彼とその音楽に魅せられたニューオーリンズの映画監督ディヴィッド・デュボス氏が9年の歳月をかけて資料と取材先を探し、完成に漕ぎつけた奇跡のドキュメンタリーだ。
ボビーは、生前引きこもりの生活を送り、ほとんど公の場に姿を現すことはなかった。1976年、ザ・バンドの解散コンサート「ラスト・ワルツ」という大
舞台に出演こそしたものの、記録映画にその姿は映っていない。映画を作るための素材が限られる中、彼を知るミュージシャンや友人、家族、そしてボビー本人の貴重な証言を通じて、謎多きその素顔に迫る。
1972年の名作アルバム「ボビー・チャールズ」に参加したジム・コールグローヴやエイモス・ギャレット、ジェフ・マルダー、「ラスト・ワルツ」のプロデューサーだったジョナサン・タプリン、アラン・トゥーサン、そして生涯に渡りボビーと共演を通じて親交を深めたドクター・ジョンといった面々が貴重なエピソードを語る。ボビーのファンであれば、彼の映画ができたという事実自体、驚きを禁じ得ないはずだ。
陶守正寛(音楽ライター・翻訳者)
ボビー・チャールズ/BobbyCharles
1938年ルイジアナ州アビヴィル生まれのシンガー/ソングライター。彼の楽曲はファッツ・ドミノ、ジョー・コッカー、レイ・チャールズ、ジョー・ストラマー、ボズ・スキャッグズ、ポール・バターフィールド、フロッグマン・ヘンリーら多くのアーティストに取り上げられている。1955年、ブルーズ/R&Bの名門チェス・レーベル初の白人アーティストとしてデビュー。そのデビュー曲“See You Later Alligator” はビル・ヘイリー&ザ・コメッツがカバーし広く知られるようになった。1972年、アルバム「ボビー・チャールズ」をリリース。ザ・バンドのメンバーやディヴィッド・サンボーンら錚々たる面々とレコーディングしたこの作品は素朴ながら温かみのあるサウンドで、半世紀以上経った今も根強いファンを持つ。後年もマイペースながら作品を作り続けたが2010年に71歳で亡くなった。
◉初日来場者にオリジナルポストカードをプレゼント(無くなり次第終了)
◉12月14日(土)18:30の回上映後、トークあり
登壇者=久保田麻琴(エンジニア・プロデューサー)、ピーター・バラカン(ブロードキャスター)
※都合により中止となる場合もございます。ご了承ください
出演
ドクター・ジョン、アラン・トゥーサント、クラレンス・フロッグマン・ヘンリー、デルバート・マクリントン、サニー・ランドレス、ジェフ・マルダー、エイモス・ギャレット、ジョナサン・タプリン
監督・製作:ディヴィッド・デュボス
エグゼクティヴ・プロデューサー:チャールズ・ソニエ
編集:ディヴィッド・デュボス
撮影:レニー・デルバート、ゲイブ・メイハン、オリー・サッソン
2024年|73分|アメリカ 字幕監修:ピーター・バラカン
提供:マーメイドフィルム 配給:コピアポア・フィルム